「短歌の目」第8回 10月
寒暖の差にすっかりやられてる今日この頃です。今月もよろしくお願いします。
1. 上様
一族の次世代待たれて三十年姉上様のお子様出生
2. まれ
フェンス脇この指とまれとゆれているねこじゃらしの穂手のひらで握る
3. ピアノ
鍵盤を駆け回る指 躯ごと少女はピアノに操られてく
4. 星座
でたらめの星座つくった公園は夜空も僕らの遊び場だった
5. 々
佐々木から佐と木を消して現れるパソコン上の召喚呪文
6. G
Gペンで線引くこともままならず夢は引き出しの奥にしまわれ
7. 眠
眠るまで明日は来ないから起きている時計の針は見るたび進む
8. 紫
赤と青配合変えてパレットは紫の実験場と化す
9. ひたひた
ひたひたにミルクのしみたシリアルはもにゅっとしてる日曜10時
10. 秋の田の
秋の田の風に倒れた稲たちは枯れ草に似て刈られるを待つ