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緋綸子の雑記帳

私が誰かのブログを読んで楽しむように、見知らぬ誰かが私の記事を読んでくれたら。

上様でぐるぐる(「短歌の目」10月のお題)

今回の難度No.1お題(と思われる)「上様」。私はかなり苦しめられました。今回、正式に提出した分には「姉上様」として比較的はっちゃけ度の低い歌を出しましたが、そこに至るにはさまざまな葛藤がありました。その葛藤がばかばかしくも、このまま闇に葬るにはもったいない気もするので、記録として残しておきます。

 

まず、上様という単語。これをそのまま使うか、母上様、村上様、など語句の一部とするか、という選択肢があります。後者の選択肢も残しつつも、まず「上様」について調べてみることにしました。ちなみに領収書の上様問題は、そんな書き方をすることがあるなんて今回調べていて初めて知ったので、実体験のない私は題材にできませんでした。

さて、「上様」という言葉を使う以上、正確を期したい元日本史選択者。Wikiで調べると、江戸時代では上様は将軍ただ一人を指していたようです。大名を含む殿様全般に対して使っていたわけではないらしい。うーん、そう限定されるとかなり自由度が狭まるぞ。かといって、江戸時代より前のことなんてさらに馴染みないし。江戸時代、将軍、徳川家…うーむ。

考えていてふと思いました。どう考えたって「上様」なんてお題の歌、固く真面目に考えてできるはずがない! もっと自由にはっちゃけて作んないと。そんなわけで、いくつか作りました。元ネタ知らないとわからないような歌も含めて。しかし、ふと我に返ると「これ、面白いか?」と疑問に思うわけです。いざ、はっちゃけ系、面白系に軸を移すとどうしても、「自分だけ面白いと思っててスベってない?」ということが気になって発表するのが気恥ずかしくなってしまいました。短歌の面白さってお笑いの「ウケる」「スベる」とはまた別物だとは思うのですが。そんな葛藤の末、上様ネタは諦めて別の歌を提出しました。

ですが、上様ネタも真剣に考えたので、今更もったいなく思えてきて、以下に過程を晒しておきます。自己満足の解説付き。

 

「『上様が俺を見た』なんてありえない」「いや、時代劇はファンタジーだから」

〇えーと、これは『マッドマックス 怒りのデスロード』のセリフ「ジョー様が俺を見た!」が元ネタです。 カリスマ性ありまくるボス、イモータンジョー様が自分のほうに視線を向けたことに、末端の戦士であるウォーボーイズの一人が感極まって叫んだセリフです。このあと、「いや、お前を見たわけじゃない」と仲間からつっこまれてますが。

で、時代劇か何かで「上様(将軍)が俺を見た!」というセリフがあったとして、実際の江戸時代にはそんなことはありえないですよね。将軍に謁見するにしても、将軍が自分のほうをちらっと見ることはあるとしても、こちらはほとんど離れた場所で平伏してるから目と目が合うなんてことはないし、仮に合ったとしてもこんなセリフは言えっこない。それほど将軍とははるか雲の上の存在。そんな時代考証的つっこみを入れる人に対し、まあまあこれはファンタジーだから、と。うん、わかりづらいですね、この歌。

 

江戸時代上様の数十五人  うちのクラスの女子より少ない

〇これはまんまです。江戸時代の将軍は15代までということで。クラスの女子は適当。20人弱くらいのイメージ。

 

上様の十五将軍漂流記  家康と慶喜の対立

上様の十五将軍漂流記  仲間先生に描いてほしい

〇だんだん迷走してきて短歌といえるかあやしくなってきました。昨日夜中に思いついた時点では、「十五将軍漂流記」に一人でウケていました。字数も合ってるし(というか『十五少年漂流記』自体が日本語的に語呂がよく作られたタイトルなんでしょう)。元となったイメージは、少年ジャンプの『磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~』(作者は仲間りょう先生)の、徳川家の将軍、初代・家康から十五代・慶喜までが兄弟という設定です。行動するときは常に集団行動で、江戸の町を15人縦一列になって歩いたりしてる。この設定好きなんです。

で、よく見ると上の句自体意味不明なんですが(「上様の」がなんの説明にも修飾にもなってない。枕詞?)、字数合っててお題も詠み込んだからこれでいくとして、下の句に難渋しました。そもそも『十五少年漂流記』読んでないし。Wikiであらすじ調べて(またウィキ…)、途中で誰かと誰かが対立したって書いてあったから、最初と最後の将軍を対立させてみました。おお、字数ぴったり。しかし…二人とも先の先のことまで考えて用意周到でしぶとく生き延びる似たようなタイプ…あまり対立しそうになくね?と自分の中でつっこみが入り、この下の句はボツ。というか、だんだん考えるほど面白いと思えなくなってきました。不自然な創作するくらいなら自分の願望素直に書いたほうがいいかもしれん。というわけで「仲間先生に描いてほしい」。うん、素直だけどこれ短歌じゃない。さすがにお題10首の一番目に発表できない。

 

はい、こんな感じで迷走してました。ぎりぎり短歌として出せるのは2番目の「クラスの女子より少ない」の歌くらいでしょうか。こうして振り返ると、ウィキを調べた時の上様=将軍=徳川にとらわれすぎているみたいですね。

正直、恥ずかしくはありますが、自分の発想の傾向とか弱点とか後から読めばわかるかもしれないので、記録として残しておきます。いやぁ、しかし今回はドツボにはまった。。。