緋綸子の雑記帳

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『進撃の巨人』1~3巻感想 —行動の選択と結果—

漫画自体はもうずいぶん前から連載して大ヒットしている『進撃の巨人』。面白そうだなとは思いつつずっと読まずにきたけど、今更読んでしまった。実写映画化に合わせて単行本1~3巻の内容を収録した総集編がコンビニで売られてたので、思わず買ってしまったのだ。まさに思うつぼだけど、その勢いで既刊全17巻を1週間くらいで揃えて読み終えた。

まずは総集編(1~3巻)の感想を書こうと思う。3巻までの内容については以下がっつりネタバレしてるので注意。

 

 

進撃の巨人』総集編を読んだときの衝撃と感動は忘れられない。冒頭から物語に引き込まれた。どうしても、巨人による食人のインパクトだとか世界観の凄さがまず語られがちだけど、私が一番よいと思ったのは、巨人の恐怖に登場人物たちがそれぞれどのように立ち向かい行動するかが、説得力をもって描かれていたことだ。シガンシナ襲撃でのエレン、ミカサ、アルミン、カルラ、ハンネスさんの行動でそれぞれの性格や互いへの想いがわかるし、5年後のトロスト区防衛戦での104期生たちの行動も、それぞれの性格や能力がよく現れている。そしてどの行動にも納得がいく。この点が新人離れして素晴らしいと思った。

特に好きなのは、補給班が籠城して巨人に囲まれてしまった補給塔に、ミカサ、ジャンたちが突入するところ。エレンの死を知ったミカサが率先して仲間を鼓舞するも、それは動揺を行動で打ち消そうとしているだけで、いつものように冷静なわけではなかった。立体起動装置のガスの蒸かし過ぎでミカサは宙から地に落ちてしまう。そこへ巨人が現れ、ミカサは一瞬すべてを諦める。過去の出来事と重ね、「この世界は残酷だ そしてとても美しい」と、エレンとの思い出を胸に抱きながら。だがそこへ、かつてのエレンの「戦え!」という叫びが聞こえ、ミカサは戦意を取り戻す。残酷な世界で生きるには戦わねばならない。それは何より大切な、エレンが教えてくれた生き方だった。この、エレンを失ってから二転、三転するミカサの心情の描写が好きだ。それほどエレンの死はミカサを混乱させ、けれど最終的に生きようと思わせるのもまたエレンなのだ。

そしてミカサを食おうとする巨人を新たに現れた巨人が殴ってひとまず命拾いし、そこへ追いついたアルミンがミカサを屋根に助けあげる。ミカサの行動を見ていて彼女の心情に気づいていたアルミンは、自分のガスをミカサに託しながら

「今度は大事に使ってくれよ  みんなを助けるために」

と言う。そこでミカサは一連の自分の行動が短絡的で無責任であったことに気づく。ちゃんとここまでミカサに気づかせ反省させてるの、すごいなと思った。ここで言及されなければ、私自身はそこまで考えたかどうかわからない。この作品では、登場人物が何を思ってその行動を選び、それがどんな結果をもたらしたのか、ということを常に意識して描いているのだなと感じた。ここまで描くことで、ミカサが単なるエレン厨ではなく、自分や状況を客観的に見ることのできる、仲間思いで責任感のある少女なんだなとわかり、読者にとっても彼女の信頼感がぐっと増す。

 そのあと、ミカサに自分のガスを託して自分はこの場に残り死を待つつもりであったアルミンに「ここに置いていったりはしない」とミカサがきっぱり言う場面も、すごく好きだ。ミカサとアルミンの絆の深さが感じられて。

 

 

感想途中ですが、自分的にキリがいいのでひとまずここでいったん終わります。また別記事で続き書くつもりです。ここまでわりと硬めの文章で書きましたが、このあとエレンの話になると文体とかテンションとかいろいろ変わってきそうなので。エレン厨は私です…。