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緋綸子の雑記帳

私が誰かのブログを読んで楽しむように、見知らぬ誰かが私の記事を読んでくれたら。

覚えておこうと思った

目のほとんど見えないおばあさんと少しお話をした。特に私から具体的に質問しなくとも日々のいろいろを話してくださった。お話好きの方のようだ。

夢を見たという。花を植えていて、あたりが花でいっぱいになる夢。そのあと起きてトイレに行くと、目が覚めているのにしばらくは家の中であるはずのそこここに花が咲いて見えていた、と。

「目が見えないと寝てるときと同じなのね」とおばあさんは感心するように言った。おそらく目が見える人であれば、夢を見ていても覚醒して目を開ければ外からの映像が入ってきて情報が更新されるんだろうけど、目が見えないとその更新がなされず夢の視覚情報がしばらく残るのだろう。目が見える人でもたまにこういうことはある。いわゆる寝ぼけてる状態。目の見えない人はそれがより起こりやすいのかもしれない。

でも、それって起きてすぐは混乱するし不便だろうし場合によっては危ないんじゃないかとも思ったけど、おばあさんは夢の花の余韻を反芻していたのであまり水をさすようなことは言わずにおいた。このおばあさんは頭がしっかりしていて現状把握もちゃんとできていそうだし、何より不便なんて私が指摘するまでもなく普通に感じているだろう。そんななかで不思議に思えたできごとを私にも話してくれたのだ、きっと。


私は目も見え耳も聴こえるし手足も動かせる。でもいつかこれらの機能のどれかをふいに失うようなことがあってもおかしくない。そのことを想像するととても怖い。 生きていかれないんじゃないか、何もできなくなるんじゃないか、と思ってしまう。

だからこそ、目の見えない人がたまたま私に直接話してくれたこんなお話を大事に心にとめておこう、覚えておこうと思った。それで怖さがなくなるわけではないけれど、ただ闇雲な怖さ以外に持っておけるものとして。