緋綸子の雑記帳

私が誰かのブログを読んで楽しむように、見知らぬ誰かが私の記事を読んでくれたら。

短歌を初めて作ってみて

もともと小倉百人一首の世界が好きでした。歌それぞれの魅力もさることながら、この歌人とこの歌人が恋仲だとかライバルだとか、背景となる関係性やエピソードをたどるのも楽しく、一首から百首まででおおよその時代の流れが感じられる構成も素晴らしくて。

 枕草子更級日記やなんかの日記文学も好きなんですが、この時代の貴族たちって息をするように当たり前に和歌を詠んでいて、本当にすごいなと驚愕します。何百年にもわたり、こんなにも隆盛した和歌の文化がすたれるなんてもったいないと、一人で勝手に口惜しがったりしていました(何者のつもりなんだか)。それが高じて「自分もこういう伝統的な和歌を詠めるようになりたい!」と、かなりハードルの高い願望を抱いたりもしました。まぁ、難しいですよね、現代人なんだし。よほど専門的に勉強するならともかく。それでも難しいのかもしれないし。

初め、そのような願望を抱いていた頃は、現代短歌はちょっと苦手だなぁという意識がありました。伝統的な和歌と比べて、主張が強いというか、クセが強いものが多いという印象があったんですよね。どろりとした感情を詠んだりもするし。

なんですが、短歌作りたい熱が高まるにつれて、現代短歌にも次第に興味が出てきまして、それを決定づけたのが、穂村弘さんの『短歌という爆弾』という本でした。端的にいうと、短歌は自分や世界を変える爆弾となりうる、という考えのもとに書かれた短歌入門本です。穂村さん自身のデビュー前後の経験なども書かれていてエッセイとしても楽しめますし、プロアマ問わずたくさんの歌とその解説というか批評が書いてあるので、現代短歌の作品集(?)としても楽しめます。ですが一番面白かったのは、さまざまな作例をもとに、短歌がどうやって人に衝撃と感動を呼び起こすのかという原理(爆弾の"構造図")を解説してくれているところで、これが「なるほどっ」と思わず膝を打ちたくなる明解さで、非常に勉強になりました。興味のある方は是非読まれてみてください。現代短歌においても重要なのは「言葉で人の感情をいかに呼び覚ますか」であって、その点では伝統的な和歌とも変わりないんだな、と思いました。

この本を読んでいよいよ短歌熱が高まった折、はてなブログはてな題詠「短歌の目」の募集がありましたので、チャレンジさせていただきました(やっと本題)。

やってみた感想ですが、まず、自分が一応お題に沿って10首作れたことにびっくりしました。お題を見た瞬間は、「いや、無理だろこれ…。」と思ったので。何とかひねり出すことができてよかったです。これは私がどうこうというより、単に「5・7・5・7・7」という形式が、日本語で文章を作りやすい形式なんだろうなーと思います(多少の無理はあっても)。

そして肝心の中身のほうですが…後からみると自分の歌は、日常で自分が感じたことをそのまんま5・7・5・7・7の文章にした感じだわ、と思いました。こう書くと聞こえはいい(?)のですが、何か、イメージの広がりがないというか…。自分のを作ってから他の方の作品を見てみたのですが(そうしないと気持ちがくじけそうだし、影響を受けそうだったので)、皆さんの歌には遊び心があるなぁ、と感じました。読んでいて楽しい気持ちになるというか。豊富な語彙を駆使して、自由に世界を作り出しているという印象を受けました。うーん、慣れないとなかなか難しいですね。出発点は日常感じたことでも、そこからどうやってイメージを膨らませればいいんだろう。。。

 

今回、お題に沿って短歌を作るという初めての経験ができて、非常に楽しかったです。これからも続けていけたらいいな。

このような機会を作ってくださった企画者様に感謝しております!