「短歌の目」2015年ふりかえり自選10首
2015年もあとわずかということで私も、「短歌の目」で詠んだ中から自分で気に入っているものを選んでみました。基本ひと月に1首、8月のは迷ったので2首、それでちょうど全部で10首になりました。選んだ基準は、詠んだそのときの気分を思い出せるもの、ああ、これはたしかに私が作ったんだなぁと思えるもの、意味の分かりやすいもの、です。
4月 茶碗ひとつ湯呑みひとつと好きなもの選んで始まるひとりぐらしは
5月 南米の鳥のように美しく発情できたらいいのにダーウィン
6月 晴れた日も感じる梅雨の湿り気に皮膚呼吸する私は蛙
7月 君とまだここにいるため残してる限りなく水に近いアイスティー
8月 おまつりにはずむ心で金魚掬うように私を掬ってみてよ
8月 朝夕のわずかな光に日焼け止め塗って夏から遠ざかりゆく
9月 暗くなる前の最後の青空に月が黄色く光り始める
10月 眠るまで明日は来ないから起きている 時計の針は見るたび進む
11月 追われても羽ばたくふりしてまた歩く鳩のような生き方してる
12月 降る雪の白が視界を埋め尽くし窓辺で静かに昂っている
ちょうど今年の春に転居して、4月から9月までは電車で1時間の田舎の職場に出向していました。そんな環境を反映しているのか、それとも季節的なものなのか、前半は明るく開放的な歌が多くて、10月以降は内にこもった感じの歌が多い気がします。
「短歌の目」では、上手い方は歴然と上手くて、そんな方々に比べて自分のはいまいちだなーと常々思いながら、歌集や指南書をたくさん読むとか、上手い人の歌を分析してみるとかの努力をしたわけでもなく。それでも詠むことに何か意味があるとすれば、自分を込めることだと思い、それだけは意識してやってきました。そうすれば、少なくとも自分にとっては意味のあるものになる。それが人にも伝われば尚良いけれど。
これからも短歌は続けたいと思ってますが、強制されないとなかなかやらないタチなのでちょっと不安です(いや、「短歌の目」も強制されたわけじゃないですが)。「短歌の目」に参加してよかったことは、素敵な詠み手の方々に出会えたことで、たくさん歌を作り続けてる方々もいらっしゃるので、これからもそんな方々の作品を楽しみにしつつ、自分も少しでも作っていけたらよいなと思います。
本年はお世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。