緋綸子の雑記帳

私が誰かのブログを読んで楽しむように、見知らぬ誰かが私の記事を読んでくれたら。

『閃光のハサウェイ』観てきた。

閃光のハサウェイ』を観てきたのでその感想を書く。

ちなみに私のガンダム知識としては、まず機動戦士ガンダムはTV版を全話見ていて、Zガンダム、ZZもだいたい見ている。そして『逆襲のシャア』はもう何十回とみているほど思い入れが強い。UCやNTは見ていない。

閃光のハサウェイ』の小説があることは前々から知っていたけど、内容を知っている人がなんか暗い反応をするし、そもそも逆シャアのハサウェイのラストを知っている時点で彼のこの後たどる道の闇の暗さが想像できるし、富野さんの小説は読んだことはないけどアクが強そうな気がして(ごめんなさい)、なかなか読む勇気がなかった。

その小説が映画化されるということを聞いて、そんな暗い作品をまじでやるのか…でも小説読んでいないし映像化されるなら観てみたいな…という不安半分、期待半分な感じで待つともなく待っていたわけだけど。封切りされてみると何か評判がよく、面白かった!という感想を見かけたので、わりと楽しみに見に行くことができた。人様の感想って大事。というわけで私も感想書くぞ。

以下、今回の映画のネタバレはありますが、小説は読んでいないので上映された分より先の展開については私は一切予備知識ありませんので、そのへんよろしくお願いいたします。

 

 

・冒頭15分のマフティーを騙るテロリストを倒した時点で、ハサウェイめちゃくちゃかっこよくなっとるやん!と完全に心をつかまれた。機内の細かい描写もすばらしい。あの美人CAさんは何者?

・公式Youtubeで冒頭15分を見ることができるので見直してみたんだけど、あのカボチャ頭のリーダーは、ハサウェイの正体に気づいて、だからこそ妨害してきたハサウェイに対して「何やってんだてめぇ!?」って反応だったわけか。

・ギギは初め何者かわからないので(というか見終わった今もまだ完全にはよくわからない)、彼女のセリフの意味とか、予備知識ゼロだとなかなかついていくのが難しかった。彼女がマフティーという存在に対して興味をもってあれこれ考えているのはなぜなのだろう。

・ギギの外見はもちろん、ファッションがとても素敵でよかった。服装に違和感があると残念なことになるから。

・ハサウェイに「言葉が人を殺すこともあることは覚えておいた方がいい」と言われていきなり「わたし、そんなつもりないよ!?」とギギが子供みたいに動揺しだす場面、『ヤサシイワタシ』の弥恵さんを思い出した(私は以前から、ハサウェイとクェスの関係を芹生と弥恵に重ねている)。何かそういうトラウマがギギにあるんだろうか。

・ケネスは内面があまり描かれていないので、よく出てきてよくしゃべるわりにはキャラをつかめなかったな。二面性があるというほどには感じなかったけど。仕事モードとプライベートモードという感じか。あと、会話のレベルが、わりと洗練されたモードのときと、異様にくだけるときの落差が激しいというか。いきなりくだけられると「は?」ってなるよね。ギギに「俺と寝てくれ」と言ってハサウェイとギギに冷たい反応されるところ好き。

いまのところケネスに対して親しみはあるけどすごく好きなキャラというわけではない。でも有能だしハサウェイへの関心がすごいので、今後ハサウェイと敵対するうえでこの因縁がどう効いてくるのか楽しみ。

・ハサウェイ、ケネスに対して「子供の頃の軍規違反で親父には迷惑をかけた」って話を2回くらいするんだけど、これ、あれだよね。今やってることやこれから起こることでまちがいなくまた父親に迷惑をかけることがわかってるから出てくるセリフだよね。何かもうハサウェイ、心境がダダ漏れだぞ。

・レーンくんは…そんな単純なことで軍人として大丈夫か、君!?と、ちょっと心配になった。人質勝手に解放してあとで怒られるんじゃないか?(と心配していたけど、今回の映画では怒られる場面は出てこなかった)

・そしてマフティーの仲間たち。ハサウェイがあれだけ危ない橋を渡っておきながら特に怒りもせず笑って許しているあたり、ハサウェイのそういうところが好きで共感して集まった仲間たちなんだなと思った。髪の長い威勢のいい感じの女性が、ハサウェイが取り乱すギギを見捨てられず抱きしめる様子を見て「あんたの弱点全部出てきてる気がするよ」みたいなこと言ってたし、かなりわかられちゃってるハサウェイ。あと、途中で連絡とってた眼鏡の女性が「ハサウェイに変なこと教えないで」と男性に怒ってたりするの、ハサウェイ愛されてんなぁって思う。こういう弱みをみせたうえでの自然な愛され方って、アムロやシャアにはないものな気がする。 

なんか、マフティーのメンバーみんなキラキラしていてそれがちょっと不気味だった。ケネスが「清廉なイメージ」と言ったり、タクシーの運ちゃんが「暇なこと考える」っていうのが少しわかる。賢く、人間的に余裕のある人たちが集まっているのだろう。そんな理想に燃えた若者たちなのだけど、結局やることは人の死に乗った世直し(byアムロ)なわけで、そんな彼らの行く末がどういうふうに描かれるのか。ただただ命が失われ悲しみに押しつぶされるのか、その前に理想が失われて失望したりドロドロしたりするのか。辛いけれども興味深くはある。

 

まとめ。

富野ガンダムファン、逆シャアファンとして、ひさびさの富野節を浴びてうれしかった。監督は違っても、原作は富野さんだからね。セリフ回しとかはやはり富野さんらしさを感じる。

調べたところでは小説『閃光のハサウェイ』は『ベルトーチカ・チルドレン』の続編であって、『逆襲のシャア』と直接つながっているわけではないらしい。『ベルトーチカ・チルドレン』は『逆襲のシャア』と同じできごとを描いているらしいんだけどいくつか異なる点があり、物語の終盤にハサウェイが“やってしまった”ことがこの2作品では異なる。それで、今回の映画はどちらの続編なのかと気になっていたんだけど、ハサウェイに大きな影響を残したクェスの存在をふんわり描くことでどちらの続編としてもいいようになっているみたい?逆シャアだけを知っている私も違和感なく見ることができてよかった。見ていて、逆シャアの精神の後継たる作品だと感じた。

 

私が事前に知ってた小説版の閃ハサの内容は「ハサウェイがテロリストになる」ということだけだったんだよね。だから、どこかのテロリスト集団の作戦に従事して人の命を奪っては自らの行いに苦悩するハサウェイ…みたいなイメージだった。まさかリーダーだったとはね。見くびってたよ、ハサウェイ・ノア。そして同じ志をもつ仲間たちと生き生きとしてるし…。そしてその葛藤も含めて仲間は理解し彼に共感している。さっきも書いたけどそのキラキラぶりが想像とちがっていて、ある意味怖かった。

今回、『閃光のハサウェイ』に関する宣伝文句で、シャアとアムロの理想と意志を受け継ぐハサウェイというような表現を見かけるのだけど、たしかにそういう面もあるんだけど、彼の自然に人と打ち解ける様子とか見ていると、ミライさんの子なんだなぁと思う。ミライさんの柔軟性と親しみやすさ、ブライトさんの生真面目で初志を貫徹するところ、シャアとアムロの後継というだけでなく、ミライとブライトさんの子なんだなぁということをしみじみと思ってしまった。 

逆シャアのときはハサウェイにそこまで思い入れがあったわけじゃなく、ただ、閃ハサが映画化されるのなら彼の行く末を見届けようというだけの気持ちだった。それがまさか今回の映画でこんなにハサウェイを好きになるなんて思ってもみなかった。ただ、好きになるほど今後の展開がつらくなりそうで怖い。