緋綸子の雑記帳

私が誰かのブログを読んで楽しむように、見知らぬ誰かが私の記事を読んでくれたら。

呼出音や保留音のメロディーに向いていない曲

呼出音や保留音に使われる音楽のこと、総称して何と呼ぶのか軽く検索してみたけどわからなかった。何か業界用語としてありそうだけど。総称がないと、この文章が書きにくいな。

こういうのは、ポピュラーな曲のもっともポピュラーな部分が単純化されたメロディーにアレンジされるわけだけど、向いている曲と向いていない曲があると思う。私が聞いたことあるなかでの二大・呼出音にすると間が抜ける曲は、『浪漫飛行』と『ホール・ニュー・ワールド』だ。

 

浪漫飛行』のナースコールを初めて聞いたときはあまりの間抜けさにその場で崩れ落ちそうになった。ちょうどサビの「君と出逢ってからいくつもの」のところから始まるのだけど、かなり単純化されていて音数も減らされている。「君と」はなくて、「でーあーってからーいーくーつもーの」って感じだったかも。あるいは「そーのーむねのなーかーまーでもー」か。とにかく、単純化されると、メロディーとして大きく変わりはないはずなのに全然印象がちがう。え?こんな曲だった?ってなる。いま自分でも歌ってみたけど、歌声は、全音・半音の音階だけでは表現できない範囲も含んでいるんだろう。「出逢ってからいくつもの」の「もの」のところだけでも複雑な揺らぎとニュアンスがあるように感じる(私は音楽に詳しくないので正確に説明できないけど、たぶんこぶしとかビブラートとかがそれなんだと思う)。それをナースコールのような、複雑な音を表現するのにリソース使ってる場合ではない機械で奏でる必要はない。でも、それにしてもここまで原曲の良さが損なわれるとは…って感じだった。

 

ホール・ニュー・ワールド』は、私は原曲を知らずに職場の電話の保留音として何度も聴いていて、あまり盛り上がりのない、とらえどころのない曲だなと思っていた。こちらはちょうど歌い出しのところから始まるんだけど。

「タンタタンタタンタン♪ タンタタンタタン ターンターン♪」

それを、待たされている状況だったり、はたまたこれから話す内容によっては憂鬱な気持ちのときに繰り返し聞くことになるので、パブロフの犬状態で、このメロディを思い浮かべると条件付けで受話器をもって待たされている物憂い気分になってしまう。これが鳴る職場から離れてからもこのメロディを耳にすることはあったが、何の曲かは知らない状態がしばらく続いていた。

ある日たまたまテレビで『ホール・ニュー・ワールド』を歌手がステージで歌っているのを聞いて、ん…?よく電話で聞いてたあの曲じゃないかと気づきびっくりした。『浪漫飛行』のナースコールとは逆の衝撃。え?こんなに豊かな情感のある天上から降ってくるような歌声の曲だったの?『アラジン』だったんだ。男女のデュエットなんだ。人の歌声ってすごい…。これを保留音にするとああなってしまうのか。

 

この二曲が向いていない理由というのを考察しようと思っていろいろ考えたんだけど、何だか大きく間違えそうなので、やめておく。単純にこの二曲における原曲とのギャップが私のなかで印象深いというだけな気がするし。

逆に、呼出音や保留音のメロディーに向いている曲って何かなと考えた時一番に思い浮かんだのは『イッツ・ア・スモール・ワールド』だ(ワールドちがい)。あらゆるところで使われているだけある。子供のまっすぐな歌声が映える曲だし、音数多めなわりにリズムはシンプルで、呼出音として聴いてもギャップが生まれにくい。

こう書くと、向いている曲、向いていない曲のちがいの結論めいたものが出るんじゃないかと思われるかもしれないけど、サンプルが少なすぎてなんとも。

最初、『浪漫飛行』と『ホール・ニュー・ワールド』は歌い手の声と歌唱の技術が楽曲の魅力とわかちがたく結びついるから…と考察してたけど、じゃあ向いている曲はそうじゃないの?と言われたら困るし。その曲が向いている理由、向いていない理由を考えることはできても、それを一般化できるかというとそれはわからないんだよね。これからも個人的なテーマとして、向いている曲と向いていない曲のサンプルをストックしていこうと思う。