緋綸子の雑記帳

私が誰かのブログを読んで楽しむように、見知らぬ誰かが私の記事を読んでくれたら。

胃の検査との戦い

 去年、今年と人間ドックを受けている。別に通常の健診でもよいのだが、乳腺エコーを受けたいので健診の代わりに人間ドックを選択している。ところが、人間ドックを受けるとなると、もれなく胃の検査がついてくる。胃透視もしくは胃カメラのどちらか。わたしは胃は特に気になる症状もないし別に受けたくないんだけど、乳腺エコーを受けたいがために胃の検査も受けることになる。

 

 去年は胃透視を選択した。バリウムを飲んで台に乗り傾けられたりして宇宙飛行士の訓練っぽいこと(イメージ)をさせられる検査である。ところがこの検査は途中であえなく断念することになった。バリウムを飲みきれなかったのだ。なんとなく以前からこうなるんじゃないかと恐れていたところはあるけど、実際にやってみたら案外できるんじゃないかと少し期待したが無理だった。私はもともと食事をするにもお腹がいっぱいになってくると途中でこっそりげっぷしないと続きを食べられない人間である。無視して食べ続けることができないのだ。これ、何で自分がこうなのかよくわからないんだけど。皆さんはそんなことないの?

 発泡剤を飲んだあとに手渡されたバリウムがやや大きめの紙コップになみなみと注がれていた時点で『あ、これ無理っぽい』と感じた。意を決して飲み始めると味も食感もいまいちだけどそれ自体はなんとか我慢できる。でも何口か飲むとどうしてもげっぷが出てしまう。げっぷをしたらダメ、もう一度発泡剤を飲んでもらって飲みなおすことになると言われたが、もう1回やっても絶対にげっぷは出るしこれ以上は飲めないので同じことだと検査技師に主張した。どうしても無理だと思ったので、検査の中止をお願いした。技師は「検査中止すると結果が出ないですけど、職場のほうは大丈夫ですか?」と言っていたけれど、これはオプションだから職場的には別に大丈夫と思うと答えた。バリウムをいくらか飲んだので、排泄のための下剤を渡されて検査を終えた。台を傾けられるのが体験できなくて残念だった。一定年齢を超えれば皆が受けるような検査ができないなんてことある??と自分が悲しかった。VS胃透視は私の敗北に終わった。

 

 それで今年は胃カメラを選択した。私は嘔吐反射も強いので、できたら鎮静をかけてもらいたいなと思っていた。人間ドックはA病院やBセンターなどいくつかの病院や健診センターの候補から選べるのだが、それぞれの注意事項を読んでいると、A病院のは「胃カメラで鎮静を希望される場合は事前にご連絡ください」と書いてあった。なるほど、A病院は事前に連絡しないといけないのだな。ということは、注意事項を書いてない他の病院や施設では、事前に連絡せずともその場で鎮静の有無を選べるのだな。…と私は考え、A病院以外の場所を選び、特に連絡はせずにいた。これが大きな勘違いだった。上司と会話していて、胃カメラは鎮静してもらうかどうか聞かれ「鎮静してもらうつもりでいますけど…」と答えたら「連絡した?連絡しないと鎮静してもらえないでしょ」と言われ、やっと気づいた。もしかして、鎮静ができるのはA病院だけで、注意事項が何も書いてないところは鎮静なしがデフォルトだったということ?よく考えたらそうだ。なぜ私は自分の都合のいいように解釈していたのだろう。

 そんなわけで、今年の人間ドックは、鎮静なしの胃カメラに挑むことになった。これがまぁきつかった。まず初めにのどに麻酔をするのだけど、麻酔薬を氷にしたものを口にくわえて顔をやや上向きにリクライニングの椅子に座って喉の奥に麻酔をかける。私の知識ではスプレーで麻酔をすると思っていたので、氷状の麻酔薬を使うというのは聞くのも初めてだった。がんばって氷の溶けたのを飲み込み喉の奥に流し込むようにしたけど、氷自体を喉の奥にひっかけるのは怖いので、氷は口の奥の方に留めて置くようにした。だがそうすると口内ばかり痺れている気がする。喉に麻酔がかからないと胃カメラを入れるのにきついのでは…?と心配になる。

 そしてとうとう検査台に横になり内視鏡をつっこまれる。喉の奥をスコープが通るときが一番きついというが、喉の奥を通りすぎたあとも、喉に何かが留置されてずるずるされているという感覚は変わらないんですね、これ…。要はずっときつくて何度も嘔吐反射を繰り返した。よだれは全部出していいですからねと口元にチリ紙を置かれていたけど、よだれというより涙が出ていた。看護師にずっと背中をなでられていた。胃カメラを操作する医師はクールに「検査うまくいってますからねー」と淡々と進めてくれた。苦しいのも嘔吐反射が出るのも自分ではどうにもできないが、取り乱して検査の妨げになるのだけはやめよう、一刻も早く終わらせたいという思いで、体はなるべくじっとしていた。胃に空気を入れられ、「お腹張って苦しいかもしれませんが頑張ってください。あ、なるべくげっぷはしないでくださいねー」と言われたが、お腹はそれほど苦しくなかったが、やはりすぐげっぷは出た。どうしてもげっぷを抑えられない私の体質…。

 そんなこんなで何とか検査を終え、結果も特に異常はなかった。今年は検査を中断することなく無事に受けられたけど、鎮静なしという意図しない挑戦となってしまい苦しかったので、まぁ引き分けとしておこうか。次回こそはこれまでの失敗をふまえ、事前連絡して鎮静ありの胃カメラを受けて勝利(?)するぞ。…なんでそんなつもりもないのにあらゆるパターンを経験することになっちゃったんだろう…。